CAMELLE HINDS/SOUL DEGREES

ソウル・ディグリーズ

ソウル・ディグリーズ

egg_333さんのリクエストにお応えして(?)、今日はカメール・ハインズです。
ハインズは80年代にアルバム2枚を残したUKのバンド、セントラル・ラインのメンバーとしてレコーディング・デビューしています。アルバムは未聴ですが、SOUL JAZZ RECORDS編纂の素晴らしいコンピ『BRITISH HUSTLE』に「DON'T TELL ME」という曲が収録されています。爽快なダンス・トラックでなかなか良いです。
British Hustle: The Sound of British Jazz-Funk from 1974-1982

British Hustle: The Sound of British Jazz-Funk from 1974-1982

その後、80年代後半にはベーシストとしてスタイル・カウンシルのアルバム、ツアーに参加。その一方で自身のグループ、ハインドサイトを結成しアルバム1枚をリリース(未聴です)。この頃のエピソードとして、ポール・ウェラーダニー・ハサウェイの『LIVE』をプレゼントしたのはハインズだった、という非常に興味深い話が2ndソロ・アルバム『VIBE ALIVE!』の日本盤ライナー・ノーツに書いてありました。ちなみにハインズの奥さんは、なんとワークシャイのヴォーカル、クリスタ・ジョーンズとのこと。
で、やっと本題です(笑)。ハインズの1stソロ『SOUL DEGREES』は、96年に日本でのみリリースされています。マーヴィン・ゲイカーティス・メイフィールドなど、70年代のニュー・ソウルに強く影響された、メロウ・グルーヴの隠れた傑作です。
白眉は1曲目の「SAUSALITO CALLING」。カーティス「GIVE ME YOUR LOVE」を思わせるゆったりとしたリズムに、柔らかなフルートや鍵盤がミルフィーユのように重なり、マーヴィンの影響色濃いハインズのファルセットが舞う、極上のサマー・グルーヴ。ちなみに、この曲の12inchシングルのB面収録の「WHAT YOU MEAN TO ME」は、「SUMMER BREEZE」でのアーニー・アイズレーのように物憂げに喚くギターが狂おしい、夏の終わりを感じさせるメロウ・ソウルです。
アルバムには他にも、気持ちよすぎるメロウ・チューンがてんこ盛り。ドナルド・バード「THINK TWICE」ネタの「HEAVY ON SUMMERS VIBE」は、海中を潜行するようなグルーヴ感が気持ちいい曲。「LIGHT A CANDLE」は翳りのあるグルーヴと旋律が、なんとなくマーヴィン「I WANT YOU」な感じ。と思ってたら、「HOW ARE YOU MY DEAR TODAY」はレオン・ウェア先生との共作です。いかにも先生らしい、退廃的な哀感をいっぱいに湛えたメロディが素晴らしいスローです。同路線の「WHAT THE COLOUR OF LOVE」も文句なしです。
しかし、アルバムの最後に収められた「IT'S NOT ENUFF!」、何ですか、コレは!?時代錯誤も甚だしい、ダサダサへなちょこヒップ・ホップ・ソウル。96年当時でさえ、こんなイケてないプロダクションはありえないです。これは稀に見る駄曲ですよ(苦笑)。この曲さえなければ、このアルバム完璧なんですけどねぇ、実に惜しいです。
ま、そういう詰めの甘さも含めて、個人的には愛してやまないアルバムなんですけどね。




other discs

ヴァイヴ・アライヴ

ヴァイヴ・アライヴ

2ndアルバム。これは日本盤ですが、UK盤は3曲が「SOUL DEGREES」収録曲と入れ替わってます。
ニュー・ソウル的な前作から、今作ではライト・メロウなAORテイストが強調されています。リロイ・ハトソン「CLOSER TO THE SOURCE」のカバーは、オリジナルを忠実に再現した、“なんとなくクリスタル”なメロウ・ソウル。
なんちゃってラテンな「CARUPANO」や、ドナルド・フェイゲン「I.G.Y.」の改作「THE BEAUTY OF YOU」など、ソウル・ファンの評価の分かれるところでしょうが、その瑞々しい雰囲気はなかなか得難いものがあると思います。