THE WHOLE DARN FAMILY/HAS ARRIVED


ヒップホップの古典的ブレイク・ビーツとして古くから有名な「Seven Minutes Of Funk」を含む、ホール・ダーン・ファミリーのおそらく唯一のアルバム(76年)。このバンドの素性はよく分かりませんが、この「Seven Minutes Of Funk」1曲で、彼らはブラック・ミュージックの歴史の片隅に名を残し続けることになるでしょう。
その「Seven Minutes Of Funk」は、シンセ・ストリングスが宇宙的広がりを演出しホーンズがテーマを奏でるなか、アタック強めのドラムスと例のゴリゴリのベースラインが腰を揺さぶる文句なくカッコいいインスト・ファンク。終盤クールに絡むフルートもナイスです。
確かにこの曲が突出しているのですが、アルバムの他の曲もファンクからソウルフルなミディアム〜スローまで、タイロンのソウルフルで塩辛いボーカルが映える、なかなか充実した内容です。
「You Know That You Lied」「Stuck On Yourself」はソウルフルで太いグルーヴの好曲。「Fly Away Love Bird」は盲目のシンガー、ラリー・サンダースのカバー。オリジナルよりも幾分テンポを落とした、いなたくメロウなナンバーです。ちなみに、オリジナルを収録したサンダースの『The Prophet Of Soul』はサザン・フレイバーとニュー・ソウルっぽい都会的な雰囲気を併せ持った名盤です。大好きなアルバムなので近々取り上げたいと思ってます。
「Leave Me Alone」はサザン・ソウルっぽいカッコいいミッド・グルーヴ。この曲でもフルートが効果的に使われています。「Ain't Nothing But Something To Do」はへヴィーなリズムがゴリゴリ迫るファットバックみたいなディスコ・ファンク。「I'm Hurt」はオルガンの朴訥とした響きとタイロンの塩辛声が胸に沁みるスロー。
このアルバムは未だCD化されおらず、オリジナルは高値を付けているようです(僕は随分前に入手したので、いくらで買ったか覚えていませんが)。「Seven Minutes Of Funk」だけでなく、ぜひアルバムとしても評価してほしい作品です。