PRINCE/3121

3121

3121

前作『Musicology』はオーセンティックなファンク、ソウル&ロックが清々しい快作でしたが、この『3121』は80年代のプリンスの作風を現代的なビートで蘇らせたような感じで、黄金期のプリンスを知るファンの溜飲を下げるに十分に足る傑作です。20年来のプリンス・ファンの僕も大満足です。
いきなり、超ヘヴィーなドラムスが牽引する歪んだグルーヴのタイトル曲「3121」で仰け反ってしまいます。猥雑で禍々しい雰囲気、カミールみたいなボーカルも入ってるあたり『Sign O The Times』期を彷彿とさせる(「Hot Thing」あたりが近いかな)、凄まじい傑作ファンクです。
話題のシングル曲「Black Sweat」、あの「Kiss」を思い出さずにはいられない曲調、トグロ巻くシンセ音、シンプルながらも骨の髄から衝き動かされるような、殿下のエロ路線のファンクとしては久々の傑作です。
『Controversy』『1999』『Purple Rain』あたりの、毒々しい雰囲気が横溢するナスティーなファンクも収録されています。分厚いシンセやギターのカッティングがファンキーな、タイトルからしてあの頃っぽい「Lolita」や、いかにも80'sなシンセ・フレーズに、やたらキャッチーなサビの「Love」といった曲は、「Let's Work」や「Lady Cab Driver」なんかを思い起こさせ、ミネアポリス・ファンクなんて言う言葉すら頭をよぎります。ストレートにロックしちゃう「Fury」も、紫のバイクに跨って疾走してた、あの頃の殿下の臭いが濃厚です。
朴訥としたオルガンの響きが南部風情をそこはかとなく漂わせるソウル・バラッド「Satisfied」、現代的なR&Bを殿下ならではのレシピで調理した和めるミディアム「Beautiful,Loved and Blessed」あたりも良い曲です。
で、ラストはシーラ・E、メイシオ、キャンディーを迎えての、お決まりの大団円ファンク「Get On The Boat」でシメ。先行シングルの「Te Amo Corazon」(この曲はそんなに好きじゃありません)同様、ちょいラテンな感じの曲ですが、この手のファンクを殿下がやれば、まず間違いなく傑作になっちゃいます。
このアルバム、ビルボードのアルバム・チャート初登場1位を記録したということで、内容とセールス面両方でプリンス完全復活を強く印象付ける作品となりそうです。