DAYTON/FEEL THE MUSIC

stonegroove2005-11-05

デイトンは70年代後半に活躍したオハイオの大型ファンク・バンド、SUNのメンバーを中心に結成されたバンドです。
この『FEEL THE MUSIC』は83年にリリースされたアルバムです。80年代前半はファンク/ソウル・ミュージックが急激にテクノロジーに侵食されデジタル化して行き、ほとんどのファンク・バンドが70年代の躍動するグルーヴを失っていった時代ですが、このアルバムはテクノロジーと躍動するグルーヴが理想的なカタチで共存した、最も洗練されたソウル・ミュージックと言えるのではないでしょうか。
このバンドの音楽的なキー・パーソンは、後のハッシュ・プロダクションの立役者、ラーニ・ハリスで、彼が目指したサウンドの完成形といえるのが1曲目の「THE SOUND OF MUSIC」。無駄を一切削ぎ落とした洗練の極みと言えるような流麗なグルーヴのダンサー。ヴォコーダートーク・ボックス?)を効果的に絡め、颯爽と風が吹き抜けるようなピアノ・ソロのフレーズに涙腺弛みっぱなしです。このタイトルが何をかいわんや、あまりに美しく爽快な音楽に、ただただ聴き惚れるばかりです。
このアルバムは、この手のダンス・ナンバーがたんまり収録されており、いずれも良曲ぞろいです。「OUT TONIGHT」は夜の高速のドライヴにピッタリの気持ちいいファンク・ダンサー。「SO WHAT」は、より重心の低いファンク・テイスト強めのダンス曲。哀愁漂うメロディに切なく揺れる80'sダンサー「PROMISE ME」も良いです。
「LOVE YOU ANYWAY」はロジャー・プロデュースで、お約束のトーク・ボックスもバッチリ決まったファンク。ロジャーとしては少し軽めのファンクですが、デイトンのカラーをうまく引き出したナイス・グルーヴです。
個人的には、恋の始まりのような心弾むメロディの軽快なミディアム「IT MUST BE LOVE」、楽曲の澄み切った空気に青いヴォーカルが染み渡るスロー「CAUGHT IN THE MIDDLE」、ちょっとトロピカルなアレンジで温かみのあるほっこりミディアム「LOOKIN’ UP」あたりも大好きな曲です。
「EYES」はロックっぽいテイストの曲で、これはイマイチかな。僕は何故かフィル・コリンズフィリップ・ベイリーの「EASY LOVER」を思い出しちゃいます。
このアルバムは昔、日本でCD化されたのですが、今は入手困難なようです(amazonでも出てきませんね)。『FEEL THE MUSIC』という自信満々のタイトル通り、音楽の素晴らしさに満たされる名作だと思います。