MAELISSA MANCHESTER/DON'T CRY OUT LOUD

Don't Cry Out Loud

Don't Cry Out Loud

デザインを変えてみました。マーヴィン『I WANT YOU』でおなじみ、アーニー・バーンズ画「SUGAR SHACK」をタイトル部分にバーンと、プロフィールのところにカーティス『SOMETHING TO BELIEVE IN』で知られる「LATE NIGHT DJ」を使ってみました。なんだかアーニー・バーンズのファン・サイトみたいになってしまいましたが(笑)。彼の絵って、匂いたつような官能と肉体のしなやかな躍動感が素晴らしいですよね。
で、マーヴィン『I WANT YOU』と言えば、我らがレオン・ウェア大先生の一世一代の大仕事な訳ですが、70年代後半には他にも、自身の『MUSICAL MASSAGE』『INSIDE IS LOVE』、シリータ『ONE TO ONE』のプロデュース、ミニー・リパートン『ADVENTURES IN PARADISE』やクインシー・ジョーンズ『BODY HEAT』、マリーナ・ショウ「SWEET BEGINNINGS」の楽曲提供など、数多くの傑作をものにしていました。以前当ブログでも先生のお仕事の数々に触れたことがありましたが(http://d.hatena.ne.jp/stonegroove/20050817)、その時にメリサ・マンチェスター『DON'T CRY OUT LOUD』に言及するのを忘れていました。
僕はメリサ・マンチェスターについて詳しいことは知りませんし、他のアルバムも聴いたことがありませんが、この『DON'T CRY OUT LOUD』はレオンらしさが十二分に発揮された傑作です。
参加メンバーは、ジェイムス・ギャドソンチャック・レイニーリチャード・ティー、デヴィッド・T・ウォーカー、ジーン・ペイジなど、この当時のレオンのセッションには欠かせない面子が顔を揃えており、もうそれだけで内容の良さは約束されたようなもの。
1曲目の「SHINE LIKE YOU SHOULD」から、柔らかくも吸引力あるギャドソンのドラムスと弾力に富むレイニーのベースがメロウなグルーヴを紡ぎ出し、デヴィッド・Tの濡れ手で弾いているかのような官能的なギター、ジーン・ペイジのアレンジによる旋回するストリングスが相まって高揚感煽る展開はまさにレオン印のメロウ・ソウル。この曲はメリサ自身のペンによる曲ですが、これがレオンが作曲に絡んだ曲になると、さらにレオンの色が全面に出てくることになります。
レオンの作曲は以下の2曲。
「ALMOST EVERYTHING」は、レオン独特の陰影のあるメロディ進行が切なさを増幅する、一級品のメロウ・グルーヴ。寄せては返す波の如きグルーヴに思わず涙腺も弛みます。「KNOWIN' MY LOVE'S ALIVE」もドラマティックな展開にメリサのソウルフルなボーカルが映える、レオン・ファンには堪えられない曲です。
フリー・ソウル界隈で人気の「BAD WEATHER」はスティーヴィー・ワンダー作のスプリームスのカバー。ミニーにしても、シリータにしても、レオンとスティーヴィーには女性シンガーを媒介して妙な繋がりがありますね。ともにモータウン所属だし、女性シンガーとの相性という点でも、この2人にはどこか共通点があるようです。
タイトル曲のみレオンはノー・タッチなのですが、これは大仰な展開のバラードでソウル・ファンにはトゥー・マッチといった感じ。
ともあれ、これはレオンの全盛期を振り返る際には決して忘れてはならない傑作です。他のアルバムでは「I WANNA BE WHERE YOU ARE」もカバーしているそうなので、そちらも聴いてみたいです。