THE FATBACK BAND/KEEP ON STEPPIN'

Keep On Steppin

Keep On Steppin

「ニューヨークで1番のファンク・バンドは?」ともし訊かれたら、BTエクスプレスやブラス・コンストラクション、シックを抑えて、「ファットバックで決まりでしょ!」と間違いなく答える僕です。ま、誰かにそんな質問されることはまず有り得ませんが(笑)
ファットバックのアルバムは、80年代の『Hot Box』や『Tasty Jam』、傑作モダン・ダンサー「I Found Lovin'」収録の『With Love』も悪くはないのですが、どれがベストかとなればやはり70年代中期の傑作、埃っぽい重量級グルーヴを撒き散らすストリート・ファンク『Keep On Steppin』、メタリックで油まみれ、ジャケも最高な最強ディスコ・ファンク『Yum Yum』の2枚になるかと思います。『Yum Yum』の方は先にomoさんがレヴューされていたので、僕は『Keep On Steppin'』の方を取り上げたいと思います。
ドラムスとベースが激重グルーヴを叩き出すブギー・ファンク「Mr. Bass Man」。野卑なギターのカッティングとゴリゴリのビートがジワジワとグルーヴを焚きつける「Stuff」。重く沈むリズムの上を、フリーキーででファンキーなギター・カッティングとホーンズを垂れ流すルーズ・ファンク「New York Style」。強靭なリズムのカッコいいパーティー・ファンク「Wicky Wacky」。重たいベースラインに思わず腰が動くゴリゴリのファンク「Feeling」。タイトル通り永遠にステップ&グルーヴしつづけるミッド・ファンク「Keep On Steppin'」と、どれもこれも超弩級ファンク・グルーヴで攻め立ててきて、息つく暇もありません。
鬼ファンクの影に隠れがちですが、メロウ系の曲も単なる箸休め程度では決して終わらない良曲揃いです。ハモンドの暖かい響き、涼やかなフルートにのって愛を歌う傑作メロウ・グルーヴ「Love」、ゆったりとしたリズムのいなたいミディアム「Can't Fight The Flame」、スィートなメロディで聴かせる素敵なメロウ・ソウル「Breaking Up Is Hard To Do」など、すっかり気持ちよくなってしまいます。
ジャケットの印象どおり、路地裏の饐えた臭いを感じさせる強力なファンク・アルバムです。
このアルバム以前、パーセプション時代のアルバムは未聴ですが、Pヴァインの素晴らしいコンピ『Killer Jazz Funk From Perception/Today Vault」に、この時代の曲が4曲収録されています。
リターン・オブ・ジャズ・ファンク~キラー・ジャズ・ファンク・フロム・パーセプション/トゥデイ・ボルト

リターン・オブ・ジャズ・ファンク~キラー・ジャズ・ファンク・フロム・パーセプション/トゥデイ・ボルト

イベント時代よりも少しユルめのグルーヴですが、こちらもなかなかです。