DR.JOHN/IN THE RIGHT PLACE

In the Right Place

In the Right Place

ドクター・ジョンというと、最近ではすっかり「ニューオリンズ音楽界の良心」的な立ち位置に収まっているように思えますが、この人って若い頃は相当ワルかったんでしょうね。裏通りの安酒場で昼間っから酔いつぶれてクダまいてるようなダミ声からは、数多くの武勇伝をお持ちであろうことが察せられます。
ドクターの作品は90年代のモノも何作か聴いたのですが、若造だった僕にはそのルーツ回帰的な作風が馴染めなかったのか、程なくして手放してしまいました。で、今持ってるのは『In The Right Place』のみ。しかし、このアルバムはドクターの凶悪な本性が出た(?)、怪物ファンク作です。
ペドロ・ベルみたいなタッチのイラスト・ジャケからしていかがわしい雰囲気ですが、ミーターズが完全バックアップした極太ファンク・グルーヴとドクターのやさぐれたボーカルのヤクザな迫力にはビビるしかないです。
地鳴りのようなベースが唸る極太ファンク「Right Place Wrong Time」、怪しいグルーヴがトグロ巻くへヴィー・ファンク「Same Old Same Old」、ミーターズ「Hey Pocky A Way」みたいな陽気な土着ファンク「Shoo Fly Marches On」、パーカッションがヴードゥーな雰囲気を煽る鬼ファンク「I Been Hoodood」など、ゴツゴツした質感のグルーヴを伴ったファンク・ナンバーをこれでもかと繰り出してきます。
一方で、ニュー・オリンズ・ルーツ濃厚なR&Bナンバーも多数収録されており、僕が歳をとったせいか、この辺の曲も結構イイ味出してるなーと最近は思えます(笑)。そろそろ『Gumbo』でも聴いてみようかな…、なんて思う32歳です。