AVERAGE WHITE BAND/SOUL SEARCHING

Soul Searching

Soul Searching

ソリッドで黒いファンク・グルーヴと、ヘタウマな白いボーカル。スコットランドの白人グループ、アベレイジ・ホワイト・バンドは黒人顔負けのソウル/ファンクをやりながらも、白人らしいポップ・センスも随所に感じさせます。
彼らの代表曲「Pick Up The Pieces」はJBをして嫉妬させたという70年代屈指のファンク・ナンバーですし、アイズレー・ブラザーズ「Work To Do」や、レオン・ウェア作「If I Ever Lose This Heaven」のグルーヴィーこの上ないカバーも大好きなのですが、アルバム1枚挙げるとなると、この『SOUL SEARCHING』です。
このアルバムには「Pick Up The Pieces」のような派手なファンクはありませんが、渋いグルーヴでジワジワと焚きつけてくる、酸いも甘いもかみ分けた大人のソウル/ファンクが最高です。
ゴリッとした質感のベースとドラムス、印象的なフレーズで唐突に切り込んでくるホーンズ、重心の低いグルーヴでジワッと攻めるア・トライブ・コールド・クエスト「Check The Rhyme」ネタのミッド・ファンク「Love Your Life」、ホーンが誇らしげに歌い上げる、渋カッコいいグルーヴのブランド・ヌビアン「Word Is Bond」ネタのスロー・ファンク「I'm The One」の2曲は掛け値なしのカッコよさ。タイトル曲や「Goin' Home」といったグルーヴィー・チューンも余裕でキメてくれます。
ネッド・ドヒニーとの共作/競作となった「A Love Of Your Own」は、ドヒニー版とはまた違った、夜の闇を感じさせるAORソウル。また「Queen Of My Soul」は、熱帯夜を思わせるパーカッションの演出とスリリングなリズムが、胸の奥から何かがこみ上げるような展開を生むラテン・ソウルの傑作です。
「フツーの白人のバンド」がソウル探求の旅の末に行き着いた、自分たちにしかできないソウル表現。少なくとも、これは非黒人によるソウル・ミュージックの最高傑作だと思います。