THE MIZELL BROTHERS/MIZELL

マイゼル

マイゼル

最近、スティーヴィー・ワンダー『A TIME 2 LOVE』や、アリシア・キーズ『UNPLUGGED』と並んでヘビ・ロテ中なのが、このミゼル(マイゼル)兄弟のベスト盤です。
これは70年代前半にブルー・ノートに残した傑作プロデュース群から8曲、プラス未発表曲(テイク)3曲、合計11曲で構成されたアルバムです。既発曲のうち僕が今回初めて聴いたのは1曲のみで、あとはレコード/CDで持ってますが、意志の弱い僕は未発表3曲に引っ張られて買ってしまいました(苦笑)。
で、未発表曲ですが、なかなか興味深い内容なんですね〜。ゲイリー・バーツ「FUNKED UP」は、タイトル通りの激重ファンク・バンプ。77年録音、シリータがボーカル参加ということは、あの「MUSIC IS MY SANCTUARY」と同時期のもの。この曲はミゼル兄弟としては異色のファンク・チューンで、あのアルバムに収録されなかったのも頷けます。もはやバーツの存在感はほとんどありません(笑)。しかし、曲自体は良い出来だと思います。ディスコに色目を使いながらも、しっかり骨太なグルーヴを生んでいます。
ミゼル・ストーリー名義の「N R TIME」は74年録音で、クレジットを見るとボビー・ハンフリー『SATIN DOLL』セッションでの曲とのこと。幾分散漫な印象はありますが、らしさは十分に出ており悪くない出来。
そして今回の目玉、ドナルド・バード「THINK TWICE」の2005年リミックス! これ、ひょっとするとオリジナル超えちゃってるかも!? ミゼル兄弟自らリミックスしてますが、ビートが強化されて尋常じゃないグルーヴを撒き散らしています。「THINK TWICE」をサンプリングしたメイン・ソース「LOOKING AT THE FRONT DOOR」に似た感じもありますが(当たり前か)、この曲だけのために買っても損はないと思います。
未発表曲の話題に終始してしまいましたが(笑)、既発曲の方は当然ながら名曲・名演ばかりです。唯一聴いたことがなかったランス・アレン「REASON TO SURVIVE」も極上メロウ・ソウルで気に入りました。
ただ今回の選曲は、『PLACES&SPACES』から3曲も選ばれていることに象徴されるように、幾分メロウ・サイドに偏った印象はあります。『BLACKBYRD』の頃のシャープなジャズ・ファンクも入れて欲しかったかな。また、ブルー・ノートの音源のみで構成されていることも、選曲の幅が狭まった理由のひとつでしょう。ま、いずれにしろ彼らの足跡はとてもアルバム1枚にまとめることはできないってことですね。
とは言っても、聴いてて気持ち良くなれることは請け合いです。初心者からミゼル・マニアまで幅広く対応できる便利なシロモノですね。
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ところで、
ミゼルさんにとっては余計なお世話でしょうが、勝手にミゼル・ワークスの裏ベストを選曲してみました。今回のアルバムとは被らないように11曲選んだので、おヒマな方はお試しあれ。
題して『MIZELL BROTHERS UNDERGROOVE COLLECTION』(アースのヤツのマネです)
1.Flight Time/Donald Byrd
2.Harlem River Drive/Bobbi Humphrey
3.Shifting Gears/Johnny Hammond
4. Miss Kane/Donald Byrd
5. Gentle Smiles/Gary Bartz
6. Places And Spaces/Donald Byrd
7. Fantasy/Johnny Hammond
8. Music Is My Sanctuary/Gary Bartz
9. Jasper Country Man/Bobbi Humphrey
10. Love's So Far Away/Donald Byrd
11. Where Are We Going?(Alternate Mix)/Marvin Gaye
ラストは少し反則気味ですが…(笑)