KOOL&THE GANG/MUSIC IS THE MESSAGE

Music Is the Message

Music Is the Message

どうも僕は、ことファンクに関して言えば「完成された様式美」よりも「原石の輝き」の方に惹かれるみたいです。アースにしても、アース・サウンドを完璧に確立し、後続のファンク・バンドに絶大な影響を与えた『THAT'S THE WAY OF THE WORLD』も勿論大好きなのですが、それよりもまだ雑多な音楽性が完全には融合しきらずに、ファンクやジャズやラテンの要素が原型を留めたままゴロゴロと転がっている『OPEN OUR EYES』の方が好きだったりします。
クール&ザ・ギャングの最高傑作は『WILD AND PEACEFUL』というのは衆目の一致するところでしょうし僕もそう思いますが、個人的にはそれ以前の作品、なかでもヤクザなファンク魂を荒々しく叩きつける『LIVE AT THE SEX MACHINE』や、完成度を増しながらも路地裏のすえた臭いとユーモアを感じさせるストリート・ファンク『MUSIC IS THE MESSAGE』あたりが好きです。
本作はクールの4作目(スタジオ録音としては2作目)にあたります。アルバム・タイトルは後の“peace&universe”なメッセージ性を既に感じさせますが、実際には大上段に構えたところはあまりなく、のちのクールには無いバカっぽい雰囲気もあります。
1曲目のタイトル曲から快調にとばし、その勢いはアルバムの最後まで持続しています。2パートに分かれる「ELECTRIC FROG」は、電気蛙の名の通り(?)ビヨビヨと不思議な電子音が鳴っているバカ・ファンク。こういうの大好きですね〜。パート2の方はビヨビヨしながらもフルートがクールに絡んできて異様にカッコいいファンクです。「FUNKY GRANNY」も陽気なバカ・ファンクで、ファンキー婆さんというタイトルからしておバカ全開で笑えます。エブリデイ・ピープルというバンドがカバーしてました。
「SOUL VIBRATIONS」はホーンズが盛り上げるワサワサとした感じのファンク。「LOVE THE LIFE YOU LIVE」も2パートありますが、こちらはバカっぽさは微塵も無い疾走感あふれる粋なストリート・ファンク。以前取り上げたブラック・ヒートもカバーしてました。
一方、「STOP,LOOK,AND LISTEN」「BLOWIN' WITH THE WIND」はジャジー・メロウなムードたっぷりの曲で、クールのもうひとつの魅力を味わうことができます。
この2作後の『WILD AND PEACEFUL』で、クールはスライに替わってファンク・バンドの頂点に立つことになりますが、彼らが台頭しはじめた頃の作品である『MUSIC IS THE MESSAGE』もやはり忘れてはならない重要作だと思います。