GIL SCOTT-HERON & BRIAN JACKSON/IT'S YOUR WORLD

It's Your World
ラテン風のパーカッションが効いた隙間を活かしたバンド・サウンド、武骨だが深みのあるボーカル、社会の闇を鋭い視線で告発するリリック。GIL SCOTT-HERONの音楽を要約すると、こんな感じでしょうか。このグルーヴ感たっぷりのJAZZ FUNKサウンドは、後のACID JAZZ連のメイン・インフルエンスとなっていることは疑う余地もないでしょう。特に僕の大好きなYOUNG DISCIPLESは、その知性も含めて、GILの最良の後継者(だった)と思います(個人的にはジャミロクァイには興味ありません…)。
そんなGILさんの最高傑作はといえば、この『IT'S YOUR WORLD』をおいて他にはないでしょう。これはMIDNIGHT BANDを従え、BRIAN JACKSONと連名でリリースしていた頃のアルバムですが、GILとバンド(とBRIAN)が緊密に連携しあって繰り出すグルーヴがとにかく凄い。音の隙間の多いサウンドなんだけど、その隙間にグルーヴが渦巻いてる。サルサっぽいリズムの曲もあったりして、全体的にラテンの臭いが濃厚。JAZZとLATINとFUNKが渾然一体となって、ひとつの大きなウネリを生み出しています。
で、このアルバムは、A面とD面ラストの計4曲がスタジオ録音、残り6曲がライブ音源という、かなり変則的な構成の2枚組ライブ・アルバムなんだけど、不自然さなど微塵も感じずに一気に聴き通せるというのは驚異的(もしアースの『GRATITUDE』やメイズの『LIVE IN NEW ORLEANS』がこんな構成だったら、相当不自然に感じたハズ。つまりスタジオでもライブ同様の生々しく躍動するグルーヴを叩き出していたということです。
最高にクールなジャズ・ファンクの1曲目のタイトル曲から、「HOME IS WHERE THE HATRED IS」「THE BOTTLE」でのアグレッシブなパフォーマンスまで、息つく間もない名盤です。





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