MASSIVE ATTACK/BLUE LINES
- アーティスト: Massive Attack
- 出版社/メーカー: Virgin Records Us
- 発売日: 1993/04/07
- メディア: CD
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このアルバムは、70'sソウル/ファンクのサンプルを軸に、幾何学的で重層的なグルーヴと、ビターな感傷と冷めた視点を感じさせる空気でもって、アメリカ産ブラック・ミュージックには有り得ないビート音楽を生み出しています。
ゴリゴリの重低音ベースラインが荒々しいグルーヴを押しつける1曲目「Safe From Harm」から、シンプルな鍵盤音のループにアイザック・ヘイズ「Ike's Mood」の重厚なシンフォニーのサンプルが被さる「One Love」、クールな佇まいのラップに痺れるスモーキン・グルーヴ「Blue Lines」、ウィリアム・ディヴォーンの原曲をUKストリート・ソウルのシンボリックな曲にまで押し上げた「Be Thankful For What You've Got」のカバー、アル・グリーン「I'm Glad You're Mine」のドラム・ブレイクが重苦しく垂れ込める「Five Man Army」、チャールズ・ステップニーみたいな荘厳なストリングスと性急なビートが切迫感を煽る「Unfinished Sympathy」、リズミックなビートにニヒルなラップが乗る「Daydreaming」、ロウレル「Mellow,Mellow Right On」ネタ一発で持ってかれる「Lately」、牧歌的なメロディと歌に胸が熱くなるラストの「Hymn Of The Big Wheel」…と、全曲イイですわ。
ボーカル陣もそれぞれの持ち味を生かしきったイイ仕事をしていて、退廃的なパッションを放つシャラ・ネルソン、トリッキーらの抑揚を排したクールで知性的なラップも良いのですが、何と言ってもホレイス・アンディのスィートで切ないレゲエ声が素晴らしいです。特に「Be Thankful For What You've Got」が現在まで持ち続ける神通力は、彼の名唱なくしてはありえません。
個人的にはこの後の彼らには興味がない(聴いていない)のですが、この『Blue Lines』は僕みたいなソウル・ファンでも、15年経った今も飽きずに聴き続けられる名作だと思います。