MASSIVE ATTACK/BLUE LINES

Blue Lines

Blue Lines

ブリストル」と言えばジョニー・ブリストル、トリップ・ホップって何じゃらほい?、という僕にとってもこのマッシヴ・アタックの1stは忘れ難き作品です。コレを[UK SOUL]に(便宜上)カテゴライズすることに、今となっては違和感を感じる方も多いかと思いますが、91年のリリース当時はSOULⅡSOULやヤング・ディサイプルズと同列に捉えられていたように記憶しています(当時高校生だった僕が勝手にそういう風に捉えていただけかも?)。
このアルバムは、70'sソウル/ファンクのサンプルを軸に、幾何学的で重層的なグルーヴと、ビターな感傷と冷めた視点を感じさせる空気でもって、アメリカ産ブラック・ミュージックには有り得ないビート音楽を生み出しています。
ゴリゴリの重低音ベースラインが荒々しいグルーヴを押しつける1曲目「Safe From Harm」から、シンプルな鍵盤音のループにアイザック・ヘイズ「Ike's Mood」の重厚なシンフォニーのサンプルが被さる「One Love」、クールな佇まいのラップに痺れるスモーキン・グルーヴ「Blue Lines」、ウィリアム・ディヴォーンの原曲をUKストリート・ソウルのシンボリックな曲にまで押し上げた「Be Thankful For What You've Got」のカバー、アル・グリーン「I'm Glad You're Mine」のドラム・ブレイクが重苦しく垂れ込める「Five Man Army」、チャールズ・ステップニーみたいな荘厳なストリングスと性急なビートが切迫感を煽る「Unfinished Sympathy」、リズミックなビートにニヒルなラップが乗る「Daydreaming」、ロウレル「Mellow,Mellow Right On」ネタ一発で持ってかれる「Lately」、牧歌的なメロディと歌に胸が熱くなるラストの「Hymn Of The Big Wheel」…と、全曲イイですわ。
ボーカル陣もそれぞれの持ち味を生かしきったイイ仕事をしていて、退廃的なパッションを放つシャラ・ネルソン、トリッキーらの抑揚を排したクールで知性的なラップも良いのですが、何と言ってもホレイス・アンディのスィートで切ないレゲエ声が素晴らしいです。特に「Be Thankful For What You've Got」が現在まで持ち続ける神通力は、彼の名唱なくしてはありえません。
個人的にはこの後の彼らには興味がない(聴いていない)のですが、この『Blue Lines』は僕みたいなソウル・ファンでも、15年経った今も飽きずに聴き続けられる名作だと思います。