DONALD MCCOLLUM/U DON'T WANT MY LOVE

U Don't Want My Love

U Don't Want My Love

昨年末にUKのドームからリリースされた新譜なんですが、なかなか気に入っています。
このドナルド・マッコラムという人はアメリカ生まれですがドイツで従軍し、除隊後ヨーロッパに腰を落ち着け音楽活動を開始し、今回晴れてUKからデビューとなったそうです。その辺の遍歴はどこかテレンス・トレント・ダービーみたいですが(TTDは除隊じゃなくて脱走だったような気がします)、音楽性は90年代初期のUKソウルを思い起こさせるものです。
例えばウィリアム・ディヴォーン「Be Thankful For What You Got」のカバー。マッシヴ・アタックもカバーした、かつてのUKストリート・ソウルのシンボリックな曲を今取り上げるあたり、何か(レーベル側の)意図がありそうに思えます。ここでのヴァージョンは、リズムの転がりが心地よい爽やかな好カバーでなかなかイイです。
アルバムとしては、妙にダークな肌合いの曲もあったりして玉石混交な感じなんですが、爽快な口溶けの初期UKソウル・タイプの曲は僕のストライク・ゾーンをしっかり突いてきます。「Lose My Kool」はタイトルどおりルーズでクールなファンキィネスを感じる、マスターズ・オブ・ファンクみたいなミディアム。「U Don't Want My Love」は爽快な風が吹き抜けるアップ・ストリームなダンス・ナンバー。僕の高校時代のアイドルだったリサ・スタンスフィールドの1stアルバムに入ってそうな曲です。軽やかなリゾート・グルーヴ「I Wanna Love You」は、涼やかな海風に吹かれて波打ち際を裸足で歩きたくなるような心弾む曲です。
幾分懐古趣味的ではありますが、あの頃のUKソウルに特別な思い入れのある方は聴いて損はない作品だと思います。