SOUL Ⅱ SOUL/KEEP ON MOVIN'

Keep on Movin

Keep on Movin

久しぶりにこのアルバムを聴いているんですが、今でも熱くなれますね。このアルバムがリリースされた89年当時、僕は高校生だったのですが、その頃隆盛を極めていたニュー・ジャック・スウィングがどうにも馴染めず、専らプリンスとヒップホップを聴いてました。そんな時に出会ったのがSOUL Ⅱ SOULの『KEEP ON MOVIN'』。僕はすぐにこのアルバムの、そしてグラウンド・ビートの虜になってしまいました。多感な時代にこのアルバム(と、Pファンク)に出会ったことは、以後の僕の音楽遍歴を考えると重要なポイントだったのだなぁと思います。
とにかく「Keep On Movin'」は衝撃的でした。地を這うような重たいビート、成層圏を旋回するストリングス、ジャジーなフレーズを挟みこむピアノ、クールなグルーヴの上にパッションを解き放つキャロン・ウィーラーのボーカル。スタイリッシュだけどしっかり土臭さを匂わせていて、オレはこんな音楽を聴きたかったんだって、高校生ながら(生意気に)そう思いました。
アルバムの他の楽曲でも概ね同路線のグルーヴが貫かれていて、続く「Fairplay」はアフリカの匂いのするパーカッションが細かく鳴るレア・グルーヴ・テイストの濃いナンバー。ジャジー・Bがライヴでラップする「Feeling Free」は当時はあまり好きではなかったけど、ゆる〜いノリのグルーヴが今聴くとすごく気持ちいいです。
「Back To Life」の、冒頭からアカペラが延々と続き、高揚しきったところで例のビートが入ってくる展開は何度聴いても鳥肌起ちます。ラストの「Jazzie's Groove」も黒いグルーヴがグルグルと渦を巻くカッコいい曲です。
今改めて聴くと、「African Dance」のようにアフリカ的な装飾が過多だったり、ハウスっぽいプロダクションが古臭く感じたりする部分もありますが、おそらく初めてUKブラックの創造性とアイデンティティを世界中に知らしめたという意味で、歴史的価値の高い作品なのだと思います。