LITTLE BEAVER/PARTY DOWN

stonegroove2005-11-11

Party Down

Party Down

リズム・ボックス。―パシャパシャという乾いたパルス、正確に刻まれているハズなのにナゼか不安定なリズム、モゾモゾ蠢くような妖しいグルーヴを生むこの楽器(?)のチープな音に、僕は滅法弱いです。ソウル/ファンクでリズム・ボックスが用いられる例はそう多くはないのですが、その中には素晴らしい作品もいくつか存在します。なかでもリトル・ビーヴァー『Party Down』は、個人的にはスライ『暴動』、パーラメント『Chocolate City』と共に、「リズム・ボックス3大名盤」(ティミー・トーマスは次点です。)として溺愛している作品です。
ソウル、ジャズ、ファンク、ブルースを消化し、ぬるく潤んだマイアミならではの湿度を感じさせるメロウなグルーヴ、いなたく不器用な哀愁を感じさせるギター/ボーカル。リトル・ビーヴァーの雑多な音楽性をリズム・ボックスを軸に繋ぎとめ、一本筋の通ったグルーヴで貫かれているアルバムです。
タイトル曲は、ザワザワとした雰囲気、ゆったりとしたリズム・ボックスの刻み、メロウでジャジーなギターがアフター・アワーズ感を醸成する極上のミッド・グルーヴ。メロウに振舞いながらもファンクな腰骨もしっかり感じさせる傑作です。続くパート2はこのインスト展開で、祭りのあと的な寂寥感を更に演出します。この2曲だけで、もうすっかり湯上り気分なんですが、アルバムのほとんどは同趣向の曲で埋められています。
Party Downパート3といった感じの、ジャジーなギターに蕩けるメロウ・グルーヴ「Get Into The Party Life」、メロウながらも太いグルーヴを生む「Let The Good Time Roll」、アルバムの最後を静かに締めくくる「Let's Stick Together」など、どれも似たようなタイプの曲なのですが、そのあまりに緩い心地よさにまったりとなってしまいます。
「I Can Dig It Baby」も同傾向ながらよりファンク色が強く、ザラリとした肌触りのグルーヴがカッコいい曲です。「Money Vibrations」は最もファンク寄りの曲で、スライの影響を垣間見せます。
この後リリースした『WHEN WAS THE LAST TIME』も、より音楽性の幅を拡げ、メロウ感を更に増した好盤です。