ROY AYERS UBIQUITY/A TEAR TO A SMILE

A Tear to Smile
ROY AYERSヴィブラフォン奏者ですが、ミュージシャンというよりプロデューサーとしてのスタンスを貫いてきた人だと思います。自分の持ち楽器を全く演奏していない曲もあるぐらいです(笑)。ミュージシャンとしてのエゴにとらわれず、プロデューサーとして楽曲を総合的に監督し、最良の形に創り上げることを信条としているように感じます。それでいて、出来上がった音はどこをどう切ってもROY AYERS サウンド、というのが凄いところです。
このアルバムは75年のリリースですが、70年代のROYはりリース数が多すぎて、これが何枚目のアルバムかは分かりません。70年代前半にはニュー・ソウルの空気を吸い込んだような、内省的な作品も発表してきましたが、徐々にファンク寄りにシフトして行き、このアルバムからはよりカッチリとしたファンクになっています。
1曲目の「2000 BLACK」は何故か鍵盤が中華風のフレーズを奏でるなか、かっちりタイトなリズムを刻むファンク。他にも、ベースとムーグがグニョグニョとグルーヴする「THE OLD ONE TWO(MOVE TO GROOVE)」、ROYの速射砲のようなマレット捌きが炸裂する、失踪感あふれる典型的なROY流ファンク「EBONY BLAZE」など、ファンク曲はどれもカッコいい出来。
一方、女性ボーカルの唄うメロディも美しい、ボサ・ノヴァ・タッチの極上メロウ・グルーヴ「TIME AND SPACE」、アースのあの曲を更にジャジー・メロウにカバーした「THE WAY OF THE WORLD」など、メロウ曲も堪らない。
ROYのアルバムとしては、最もファンクとメロウが硬軟バランスよく共存した充実作と言えます。





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