LEROY HUTSON/HUTSON

Hutson
UKを中心にACID JAZZが盛り上がっていたのは、今から15年前、90年代初頭のことです。その中心的レーベル、TALKIN' LOUDに所属していたGALLIANOの、「WELCOME TO MY STORY」という曲が大好きでした。この曲でサンプリングされていたのが、LEROY HUTSONの「ALL BECAUSE OF YOU」だと知ったのは数年後でした。当時EXPANSIONからリリースされたLEROYのベスト・アルバムに収録されていたこの曲を初めて聴いた時、全身に鳥肌が立つほど感動したことを憶えています。その後LEROYさんは、日本ではフリー・ソウル・ブームにより時代の寵児(?)となりました(薄笑)。
この『HUTSON』は、彼の3枚目のソロ・アルバムになります。先述の「ALL BECAUSE OF YOU」をはじめ、とても今から30年も前のものとは思えないほど、現代的な音の質感を持った奇跡的なクオリティを誇る作品です。催眠的なグルーヴを生むベースライン、甘く上品なストリングスを伴って、繊細なボーカルが瑞々しいメロディを唄います。眩いばかりの光沢を放つ傑作です。そろそろこの作品を、フリー・ソウルやレア・グルーヴの文脈から切り離して、真っ当に評価しても良いんじゃないでしょうか。彼の他のアルバムが、本作には到底及ばないということも、このアルバムが稀代の名品である証左のように思えます。





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