LOOSE ENDS/LOOK HOW LONG

Look How Long
このアルバムは以前にもちょこっと取り上げたのですが、改めてレビューしてみたいと思います。
ルース・エンズは、80年代に「HANGIN' ON A STRING」などのヒットを飛ばした女性ボーカルを含む3人組ですが、90年にリリースされた本作では、事実上カール・マッキントッシュのソロプロジェクトとなりました。それまでフィリーのプロデューサー、ニック・マーティネリの庇護の下、アメリカのマーケットを意識した作品を創ってきたのですが、SOUL Ⅱ SOULに大きな刺激を受けたカールが一念発起し、ロンドン発ストリート・サウンドを標榜した結果が本作なわけです。
重いビートがグルーヴを巻き起こすダンス・トラック「DON'T BE A FOOL」に代表されるように、アルバムの随所にグラウンド・ビートからの影響を窺わせつつも、従来のルース・エンズらしさがうまくミックスされ、今聴いてもフレッシュな音像を創り出しています。
曲も粒ぞろいで、無名の女性ボーカルを複数招いていますが、約半数の曲ではカール自らリードを取っています。で、カールの唄がまた良いんです。お世辞にも上手いとは言えないけど、なんとも個性的でソウル・マインド溢れるボーカルなんです。「LOVE'S GOT ME」はトリッキーなビートの曲なんだけど、メロディの良さとカールの甘いテナーがソウルフルな情感を曲に植えつけています。静寂を感じさせる「Symptoms Of Love」は、マーヴィン・ゲイの『MIDNIGHT LOVE』を思わせるようなボーカルに蕩けてしまいます。
他にも「Don't You Ever (Try To Change Me) 」、「Hold Tight」、「Love Controversy Pt. 1」と、メロウなスロー・グルーヴの傑作がたんまり収録されています。
個人的には、YOUNG DISCIPLES『ROAD TO FREEDOM』、OMAR『THERE'S NOTHING LIKE THIS』、CAMELLE HINDS『SOUL DEGREES』と並ぶ、UKソウルの最高峰だと思います。




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