YOUNG DISCIPLES/ROAD TO FREEDOM

Road to Freedom
90年前後のUKソウルは、グラウンド・ビートやアシッド・ジャズの興隆で、すごく刺激的でした。僕は当時高校生でしたが、その頃の画一化されたアメリカのR&Bに馴染めず、専らUKソウルを好んで聴いてました。今となっては、それらUKもののほとんどは色褪せて感じられてしまいますが、現在でも輝き続ける数少ない例外のひとつが、YOUNG DISCIPLES『ROAD TO FREEDOM』です。
70年代のソウル、ジャズからのサンプリングを駆使しつつも生楽器を多用した生々しいグルーヴ。どこかレア・グルーヴ的な雰囲気を感じさせるのも、いかにも当時のUKのグループといったところ。カーリーン・アンダーソンのボーカルは濃密でソウルフル、思慮深さと強い意志を湛えている。その音楽性やメッセージ性からは、カーティス・メイフィールドギル・スコット・ヘロンなど、ニュー・ソウルからの影響の大きさを窺わせ、まさにグループ名どおり「若き使徒」といったところ。また、そうした70年代ソウルとディアンジェロ以降のニュー・クラシック・ソウルとの中継点となったことも意義深い。
乾いたビートにエディ・ラス曲のフルート、カーティスのボーカルのサンプリングが強烈な印象を残す「GET YOURSELF TOGETHER」、深く沈静したベース・ラインにワウ・ギター、クラビネットが絡みつき、クールなグルーヴがうねるジャズ・ファンク「APPARENTLY NOTHIN'」、路地裏感漂うアンダー・グラウンド・グルーヴ「STEP RIGHT ON」など、今聴いても体の震えが止まらないほどの刺激的でヒップな音が充満しています。恐らく、UK・アシッド・ジャズの残した最大にして唯一の遺産といえる作品です。