RAHSAAN PATTERSON/LOVE IN STEREO

ラヴ・イン・ステレオ
90年代にデビューしたR&Bアクトとしては、D'ANGELOに次いで思い入れの深いのが、RAHSAAN PATTERSONです。卓越したソング・ライティング・センス、狂おしく悩ましい喉を遺憾なく発揮した3枚のアルバムは、そのどれもが傑作です。中でも個人的に一番の愛聴盤は、2ndの『LOVE IN STEREO』です。
このアルバムでは1stの制作陣のうち、キース・クロウチは姿を消し、レス・ピアースも1曲を手がけるのみとなり、1stから続投のJAMEY JAZと新進のVAN HUNTがメイン・プロデューサーに起用されています。JAMEYとHUNTは、どちらもSTEVIE WONDERから大きな影響を受けていると思われ、それは2人の作風に如実に表れています。どちらも似たような嗜好を持ったプロデューサーですが、HUNTの方は後に明らかになるSLY STONEへの憧憬も垣間見せています。
JAMEY制作曲では、翳りのあるグルーヴがRAHSAANのハードボイルドな一面を見事に映し出した「THE DAY」、HUNT制作曲では、もろSTEVIEなクラヴィネットとSLYっぽいリズムボックスが絡み合うミッド・ファンク「SURE BOY」がベスト。またHOUSE畑のスティーヴ・シルク・ハーレイ制作のMELLOW R&B「GET HERE」がアルバムに強烈なアクセントを与えています。
しかしなんといっても、RAHSAANの存在感がアルバムの印象を決定付けています。麗しい曲の数々、飄々としながらも鋼のような強さをもつボーカルの素晴らしさ。その姿の向こうには、PRINCEの姿が重なって見えたりもするのでした。





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